ものがたりが始まる

今日の成瀬望

インドの衝撃②〜BOPビジネスと興味の拡散

会社を辞めてすぐの頃。
イギリスに住んで仕事をしているある人に、
「なんでインドなの?」
と聞かれました。
これから盛り上がっていく国なので・・と答えると、
「その理由はつまらない」
・・・・・・
と、即座に言われてしまいました。
世界で活躍したいなら、まず世界で活躍するような人材が集まる国、
イギリスなんかはどうだと、きれいな英語も出来るし、と言われ、
留学という手もあるのかと、そのとき思いました。

僕の学歴は中卒、高校中退ですが、
いちおう高校卒業程度認定資格(大検)はもっています。
イギリスだと、大学や、場合によっては、
働いた社会人経験を学歴として(?)カウントしてもらって、
AO入試でいきなり大学院にも行けると聞きました。

受験勉強が嫌いといっても、本を読むのは好きですし、
人生のこの辺で、じっくり何かを学んでみるのも楽しいかもしれない。
そう思いました。

留学について誰かに話すと
「これから先、どんな仕事をするか決めて、
目的を持ってそれに必要な勉強をするのが大事だ」
そんな真っ当なアドバイスを、いろいろな人から貰いました。

ですが、再び「その理由はつまらない」と言われた“先生”と
話をすると・・

「悪いけど、計画なんて立てずに今まで人生、生きてきたんだろう?
いまさら、生き方をどうして変えるんだ。
キミはキミの人生を生きてきて後悔しているのか?
未来なんて誰にもわからない。人生がどうなるかなんてわからない。
何の役に立つかわからないことでもいい。
本当にやりたいことをやればいい。
世の中にはいろいろな人が必要なんだ」

再び、とても僕の胸にグッとくるアドバイスをされました。笑

自分が本当にやりたいことは何なんだろうか・・・
いまから勉強をするとすれば、何を学ぼうか・・・
迷ったら本を読んで部屋にこもる。
僕のありがちな行動パターンなのですが、
改めて考えて、しばらく潜伏期間が続きました。
母校である上田学園のお手伝いをして欲しいというお話があり、
学校に毎日のように行っていたので、
部屋にこもっていたわけではありませんが。
自分の将来に向かって色々と調べたりはあまりしませんでした。


その頃、零塾の坂口恭平先生に会い、
今回の会社を辞める行動の原点である、
インドのことを、ちゃんと自分の中でケジメを付けたほうがいい。
インドで一番会いたい人を探してみてはどうか、
というアドバイスを頂きました。

そこでまずインドの原点、ということで
例の本「続・インドの衝撃」を読み返しました。
本の元になったNHKの番組も全部見ました。

あらためて面白いと思ったのは、
BOPビジネスでした。
これには夢がある。

BOPビジネスとは、
世界の多くの貧困層がアクセスできる低下価格の商品、
または支払いの仕組みにより、
今まで経済から相手にされていなかった人々に豊かさを提供する。
同時にそういった商品の販売員や社員として
貧困層の人々を雇うことにより、
社会全体が豊かさのスパイラルを上昇していく。

「NHKスペシャル インドの衝撃 第1回 貧困層を狙え」番組動画

BOPビジネスやソーシャルビジネスの現場を見て、もっと詳しく知りたい。
地球全体が豊かで持続可能な世の中になるには、どうしたらいいか知りたい。

そんなことに興味を持って、いろいろ本を読み、
似たような活動をしているすごい日本人で、
原丈人さんの講演にも行きました。
講演の後、少しお話をさせて頂く機会がありましたが、
残念ながら緊張してほとんど何も会話をすることが出来ませんでした。

原丈人さんは、ほぼ日のインタビューがおもしろいです。
原丈人さんと初対面
とんでもない原丈人さん 第1部
特別連載 第2部とんでもない原丈人さん
特別連載 第3部とんでもない原丈人さん
原丈人さん 第4部 アフリカへ!

動画:日本の若者が世界を救う! 原丈人

インドのBOPビジネスなどについても、いろいろ調べてみましたが、
仕組みとしては大変魅力的ではあるけれども、
それに携わる人の中で、大きな魅力を感じる人は
あまり見つけることが出来ませんでした。
原丈人さん以外に感動したのは、マイクロファイナンスで有名な
バングラデシュのムハマド・ユヌスぐらいでしたが、
そういった人達も、10代に寺山修司を読んだときなどの衝撃と比べると、
まったく小さなもので、
「誰に一番会いたいのか」
「自分が何を一番したいのか」などと大げさに考えると、
結局ピンとは来ませんでした。
ただし、いろいろ本を読んで、知ってよかった、
世界が拡がったと思えることはたくさんありました。

BOPビジネスとつなげて、
ムハマド・ユヌスのソーシャルビジネス、
マイクロクレジット
サスティナブルな社会とか、ローカリゼーションとか、
にも興味を持って調べました。

そういった関心の流れで、
文明批評のような本も読み、

少子高齢化の問題。
地方の過疎化の問題。
お金が暴走のようなふるまいを世界中でしている問題。
環境の問題。
社会が豊かになったことで生じたマイナスの側面。

といった事柄に対する意識も芽生えてきました。

そもそも何故日本人はこういった現在の状況になったのか?
いままでの文明はどうだったのか?
といった視点で、まず歴史を知りたい。
歴史を動かしてきた
古典といわれる名著も読んでみたい。
そういった欲求も出てきました。

自分の人生もたくさん振り返りました。
いままで感銘を受けた本やマンガなんかも全部読み返しました。
ノートに当時の気持ちや、今読んでどう思うかということなどを
書き出して、その一部はこのブログにも書きました。

結局、半年間の上田学園のお手伝いが終わっても、
知識や興味は増えたけど、まだ悩みをこじらしている状況になりました。
そして、故郷の大阪へ10年ぶりに移住したのです。


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