ものがたりが始まる

今日の成瀬望

【働くことの原点】

21から22歳くらいの頃、コンビニのローソンでアルバイトしていた。それまでの僕は、いろいろなことがうまくいかなくて、自分は社会に通用しない人間なんじゃないかと恐れていた。
だけどローソンのアルバイトを通じて、僕は初めて自分が世の中に通用し活躍出来そうだという実感を得れた。

そういう意味では学校のような場所だったし、副店長のパートのおばちゃんに言われた、いまでも強く心に刻まれている言葉がある。
「仕事は楽しくなくちゃね!」
という言葉だ。

僕はこの"楽しく"働くパートの主婦の方々から沢山のことを教えて頂いた。
本部からも表彰されるような優良店だったが、大学生やバンドマン、フリーターなど、様々な背景を持つ個性豊かな面々が働くお店を、実質、彼女たちが持ち前のコミュニケーション力とポジティブさで支えていた。
世間知らずだった僕は、世の中は実は主婦が支えていたんだ!とびっくり感心したことを覚えている。

いまでも僕の中での理想の職場はあのときのローソンだ。


その後、就職した会社でもパートの女性陣は楽しそうに活躍していた。僕はお姉様方と積極的にコミュニケーションをとり、情報を共有し成績をあげた。

 

会社を辞めてからは8年近くずっと個人事業だったので、そういったパートの女性陣と仕事をするような機会はなかったけど、いまの職場である、円形劇場くらよしフィギュアミュージアムでは、パートの女性陣が運営の主力を占めている。
再び、奥様方と働く機会が巡ってきた。

 

いま僕は、彼女たちに仕事を振ったり教えたり何か起こると問題解決をする立場に立っている。
ローソンで働いていた、あの頃とは反対の位置にいるのが感慨深い。
女性陣の高い能力が、少しでも多く生かされるにはどうしたらいいか、日々考えている。
それには、みんなが「楽しく働いている」ということが大事だ、とも思っている。

 

先日、職場スタッフの飲み会があった。
ひとりの主婦のパートさんが、終礼が一番楽しいと言っていた。
円形劇場の終礼は毎日30分程度行っていて、全員が今日一日を通して気づいたことを発表するようになっている。
パートの女性陣は、他の男性スタッフや社員よりも比較的かなりしゃべる。
僕は、その人が終礼が一番楽しいと言ってくれたことが不思議なくらい嬉しかった。
お店を良くしていこう、みんなでワイワイ楽しく働こうと、ポジティブな空気が充満していた、あの頃のローソンに近づいたと感じたからだと後から思った。

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