ものがたりが始まる

今日の成瀬望

内田樹講演「私が白川静先生から学んだこと」②

3.呪術
白川静先生は、学生運動の吹き荒れる中、
バリケードを押しのけて研究室に入って研究を続けた。
学生運動というローカルでドメスティックな
強力なナショナリズムに対抗するには、
生身の生活実感しかない。

この学生運動というものは、宗教儀礼、呪術であった。
学生の格好は、幕末に黒船が来たときにそれを迎えた
カブト、竹やり、旗差し、という格好と同じであった。
デモを見たとき、内田樹は呪術や祝祭が現代も機能していることに驚いた。

反米≒尊皇攘夷。これは、かつての栄華を復元していこうという呪い。

以前、政治家の集まりで話をする機会があった。
自民党民主党、両方の人たちが同じ場所に集まっていた。
さっきまで、国会でどなりつけていた人が、
どなりつけられていた人に「ゴメンね」と謝っていた。
(議会≒儀式?)
話を聞いていると、「アイツは虫がスカン」などと言った感情で
政党政治の舞台裏が動いていることに気が付き驚いた。
合理的な考えだけでなく、身体直感(実感)を支えに
政党政治は行われている。

つまり、政治家≒古代人。

呪詛が飛び交うのは政治だけではない。
ネットの2ちゃんねるなどは呪詛に満ちている。
ネットの呪詛で自殺する人や、秋葉の事件のように
犯罪を犯す人もいる。

呪術が、現実に実際に影響をあたえている。
呪術は現代も機能しているのだ。

そこで、現在、大阪に提案をしている。
「梅北に大仏をつくる」。
サラリーマンが疲れて帰宅する途中、電車の中から大仏が見えて心が鎮まる。

冗談ではなく、現代にうずまく呪いを鎮めるために、
「現代に呪術をどうやって蘇らせるか?」
「日本の霊的再生をしなければいけない」
と考えている。



以下、会場からの質問に答えて。


-呪いのあふれるネットの中で、
ツイッターは呪いに向いていない。
祝福に向いている。

ツイッターは「腹が減った」とか、
自分の弱い脇腹を見せるような身体性・個体性を出しやすい。
個体性がなくなると呪いが出やすい。
呪いは具体的であればあるほど馴染まない。

身体性が多いほど呪いは少なくなる。
1対1で対面すると、ヘタなことを言うと殴られる危険もあるわけで、
そういった、対面、緊張状態では呪詛を解除できる。

政治は身体性、具体性が乏しいので呪いの怒号だらけになる。


-武術は、日常の中で身体言語、身体語彙を増やしていくことも大事な修業である。


-化粧について。
女性が目の周りを飾るのは、呪術。
人類は衣服を着る前にメイク、刺青をしたと言われている。


-就活のアドバイス。
2050年も必要とされる仕事を考える。
第一次産業、伝統工芸など、
他の人が行かなくて、就職を向こうが大歓迎してくれる仕事を
オススメする。


③へ続きます。

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