寺山修司は演劇で世界を変えようとした。17の頃の僕はホリエモンやカルロス・ゴーン、中村修二の方が世界を変えれる気がした。
寺山修司が好きだ。
16歳ぐらいで彼の作品と出会って、影響を受け、学校をサボって旅にも出た。
彼は演劇を使って、世の中を変えようとした。
僕も、寺山修司のように、多くの人に影響を与えられる人になりたいと思った。
だけど、演劇の道には進まなかった。
演劇よりもビジネス、会社の方が、現実に影響を強く広く長く与えると、17の頃の僕は思っていた。
当時はベンチャー企業がもてはやされていて、ホリエモンが最初の本を出版したり、カルロス・ゴーンが日産を改革したり、中村修二が青色ダイオードを発明したりしていた。
彼らは全員、これからは今までの日本のシステムや考え方は通用しないという強いメッセージを発していた。
演劇や文学などの作り話よりも、それは突き刺さる実践の言葉だった。
僕は、新しい時代の到来を予感しワクワクしていた。
受験勉強を我慢したら安定した人生を送れると思っている同級生達は、時代遅れになると感じていた。
寺山修司のように芸術で表現をするよりも、ホリエモンやカルロス・ゴーン、中村修二のように、ビジネスや会社経営、テクノロジーやサービスの開発を通して、現実社会に働きかけることの方がインパクトが強いと思った。
いまでも、その考えは変わっていない。
寺山修司が、いまの世の中で演劇ではなく会社経営やビジネスを通じて、表現を行っていたら、どうなっていただろう?
それが僕がずっと持ち続けている"質問"だ。
いまだに答えが見つかるには、はるか遠くにいる気がするけど。
そんな僕がいま、演劇の劇団で働いているという。。
ぼくは不完全な死体として生まれ
何十年かかって
完全な死体となるのである
そのときには
できるだけ新しい靴下をはいていることにしよう
零を発見した
古代インドのことでも思いうかべて
「完全な」ものなど存在しないのさ
http://www.asahi-net.or.jp/~cw5t-stu/TERAYAMA/poems/wagaya.html